昨日夜、友人と飲みに行った帰りにふらっとビデオレンタル屋に行った。
特に見たい映画があったわけでもなかったが、なにか映画を見たい体になっていた。
今回見た映画は
「π(ぱい)」 と 「ファニーゲーム」
知ってる人は知ってるだろうし、知らん人は知らんでしょう。
それほど有名な映画ではありませんから。
ちょっと前に見て、このブログでも紹介した「ドニーダーコ」という作品がサンダンス映画祭発ということだったので、同じくサンダンス映画祭で注目された作品をチョイスしてみました。
→これが「π」
んで、パッケージの裏面にあった「これほど救いようのない映画は初めてだ!」という批評を見てチョイスしてみました。
→これが「ファニーゲーム」
じゃ、私なりの感想をはじめます。
π
1999年の映画で、ネタばれしても差し支えないでしょうし、内容が難しく人それぞれに解釈の違いがあると思いますので、すこし内容に触れながら書いていきます。
この作品はモノクロ映画でジャンルとしてはSFサスペンスでしょうか?一千万円程度の超低予算映画である。
主人公は天才数学者。彼は一つの仮説を立てており、その仮説を証明するため日夜研究を続けている。
彼の仮説はこうだ。
「世の中の森羅万象は数字によってあらわすことができ、それを数式化すれば一定の法則が得られる。」
彼のこの仮説は、身の回りの事象と自然界の事象がよく似ていることから、すべての事象は繋がっているのではという考えからだ。たとえば、コーヒーに入れたミルクの動き、タバコの煙の動きが、DNAのような微小な自然界の事象から銀河系のような巨大な自然界の事象までの螺旋の形と酷似しているのである。
彼は株式市場というカオスを相手に自分の仮説を証明すべく狂人的に研究を重ねている。
ある日、彼のコンピュータが暴走し、不規則に並んだ216桁の数字を示した。
その216桁の数字の列こそが、彼の仮説を証明する鍵となるものだった。この数字をめぐり、株式市場を支配しようと企む謎の組織やユダヤ教の原理主義者たちが彼に迫ってくる。
子供の頃からの偏頭痛に悩まされながら、これらの組織に屈することなく彼は自分の仮説を証明すべく躍起になる。
ラスト、彼はその無意味とも思われる数字の羅列に隠された意味を理解したのか、それともあきらめたのか、自分の頭をドリルで貫き、その天才的な頭脳を自ら失った。私の考えでは、すべてを悟った彼は、その答えが計り知れないほど大きなものであったために、すべてを失う事を選んだのではないでしょうか?
とまぁ、私の解釈から内容の説明をしました。
はじめに言ったようにこの作品はモノクロ映画です。といっても、そんな昔の映画って訳ではなく、設定が大昔というわけでもない。あえてモノクロなのだ。すばらしい。モノクロにすることにより、この作品独特の世界観を引き立てている。色といった概念を捨て、物事の本質を見抜く、表現するといった意味が含まれているのかもしれない。映像としての美しさも際立っている。
オープニングからしてかっちょよかった。音楽もいい。
内容は難解で、私の住む世界とはかけ離れているので理解するのには一度見ただけでは難しいかもしれない。かく言う私も理解していない点が数多くある。
狂人的な数学者を題材にした作品で「ビューティフルマインド」というすばらしい作品もありますが、それとはまったく異なる作品で、人間関係を描写したシーンは一つもなく物足りなく感じる人も多いと思いますが、独特な世界観に引き込まれる作品でした。
全体的に、芸術性が高く、作品として完成度の高いものだったと思います。満足です。
最期に、この作品のタイトルが何故「π」なのか?
πは、円という最も単純な図形から得られる数値であり、どのような規則性も受け付けない複雑で乱雑な数字の列である。このπこそがカオスと予測不能な未来を象徴している。このπに数々の数学者が挑み続け、その法則を探求している。そこで、森羅万象に法則性を見出そうとする一人の天才数学者の話であるこの作品がπと名づけられたのだろう。
ファニーゲーム
あまり、このような場で作品を否定するのはよくないと思いますが、はっきり言ってクソ映画です。終わってます。
パッケージの裏に書かれていた「これほどまでに救いようのない映画は初めてだ!」という評価は、その通りだと思いました。この評論家は、この言葉を褒め言葉として使っているのだろうが、私は完全に否定的にこの言葉をこの作品に送ります。
なんともいえない後味の悪さ。
この映画を創った意味がわからない。
なにが言いたいの?
作品としての完成度はまぁまぁで、役者の演技も申し分ない。鬼気迫る演技には魅せられた。
でも嫌! 嫌い!
イライラしてしゃーない。
画面のこちら側に話しかけてくるし、挙句の果てには勝手に巻き戻してシーンのやり直しをする始末。
ある人は斬新だというかもしれない。でもこんなん映画じゃない!馬鹿にしてる。
ある人は「時計仕掛けのオレンジ」のようだというかもしれない。ぜんぜんちゃう!
でも、よくよく考えたら、こんなくそ映画に対してこれほどまでに感情を昂ぶらせている自分がいる。ある意味、すごい映画なのかもしれない。そう思ってネットでほかの人の批評を見たところ、大絶賛する声も多々あった。感性の違いから、プラスに評価する人・マイナスに評価する人がいますが、皆この作品に対して心を大きく揺れ動かされているのは確かでした。
う~ん。俺もまだまだだなぁ。